アメリカのイエローストーン公園にオオカミが復活した話。
ニホンオオカミは1905年に絶滅している。
ウルフ・ウォーズ オオカミはこうしてイエローストーンに復活した
- 作者: ハンク・フィッシャー,朝倉裕,南部成美
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2015/04/17
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
オオカミが戻った! 1995年早春、カナダで捕獲された2群、計14頭がイエローストーン国立公園に再導入されたのだ。かつて有害視されていたオオカ ミは政府の撲滅政策により絶滅寸前となり、1926年には公園内最後の2頭が死んで生態系のバランスが崩壊した。しかし2013年時点で、公園内だけでも 10群95頭が生息すると目されている。
自然保護団体の北部ロッキー代表としてこの前例のない《オオカミ再導入》の挑戦に参加し、成功の立役者となったのが著者であり、20年にわたるオオカミ復活プロジェクトの内幕をつぶさに物語る迫真のドキュメントが本書である。
オオカミをめぐる戦争の相手は動物ではなく、人間だった。各州選出の連邦議員、畜産業者、関連機関、自然保護団体など、それぞれの思惑が複雑に絡み合 い、利害がぶつかり合った。オオカミ補償基金をはじめとする数々の創意工夫や持ち前の献身、努力、粘りによってこのもつれた糸をほぐしてゆく過程を、著者 は時にユーモアを交えながら子細に語る。ここにあるのは、自然保護関連の数多くの賞を受賞した著者による「生物をめぐる政治」の生々しい記録であり、人間 ドラマである。
オオカミの再導入(オオカミのさいどうにゅう)とは、オオカミが絶滅した地域に、人がオオカミの群れを再び作り上げることである。オオカミにとって適した自然環境が広い範囲で残っており、同時に獲物となる生物が十分にいる地域である場合に限って検討される。